こんにちは、nobu2394.comです。
私は現在51歳。2018年から米国株や米国株インデックスへの投資を続けています。今でも米国株が資産運用の中心ですが、最近、アメリカの強さを考える中で気になったものがあります。
それが、海底ケーブルです。
私たちはスマートフォンやWi-Fiでインターネットに接続します。だから、通信は空を飛んで世界中につながっているような気もします。でも、海外とのデータ通信の大部分は、実は海の底に敷かれたケーブルを通っているそうです。
しかも「海底ケーブルはアメリカが握っている」という話も耳にしました。もし本当なら、アメリカが世界経済で強い理由の一つなのかもしれません。
そこで今回は、海底ケーブルの仕組みから始め、世界地図、Starlinkとの違い、製造企業の世界シェア、日本のNEC、中国の戦略まで調べてみました。そして最後に、なぜ私は米国株を中心に投資し続けるのかという、自分自身の投資方針にもつなげて考えます。
先に断っておくと、私は通信インフラの専門家ではありません。また、この記事は海底ケーブル関連株を推奨するものではなく、公開資料を読みながら、自分の投資判断の背景を考え直した記録です。
- 結論|海底ケーブルは世界の通信の大動脈。ただし米国だけが独占しているわけではない
- 海底ケーブルとは? インターネットは宇宙から届いているわけではない
- 世界の海底ケーブル地図|これほど多くの回線が海の底を走っている
- もし海底ケーブルが切れたら? 金融・クラウド・AIにも影響する
- Starlinkがあるのに海底ケーブルは必要? 衛星通信との違い
- 自動運転やAIにも海底ケーブルは使われるのか?
- 海底ケーブルはどこの国が強い? 製造・敷設の企業別シェア
- 日本のNECはどのくらい稼いでいるのか? 最新決算で確認
- アメリカは海底ケーブルを何割握っているのか?
- 中国も海底ケーブルで世界に進出している
- だから私は米国株を選び続ける。ただし、アメリカ一国だけを信じているわけではない
- まとめ|海の底を調べると、世界経済と米国株投資の見方が変わった
結論|海底ケーブルは世界の通信の大動脈。ただし米国だけが独占しているわけではない
最初に、調べて分かったことをまとめます。
- 世界の国際データ通信の99%以上が海底通信ケーブルに支えられている。
- 製造・敷設の主要企業は、フランス、アメリカ、日本、中国に分かれている。
- 日本のNECは世界有数の海底通信システム企業で、関連事業の売上も伸びている。
- 一方、GoogleやMetaなどの米国巨大IT企業は、ケーブルの建設・所有・通信容量への投資で大きな存在感を持つ。
- Starlinkは海底ケーブルとは別の通信経路を提供し、災害時などには補完関係にもなる。
- 中国も海底ケーブルの国際ルート拡充と、自国の技術力強化を進めている。
つまり、「アメリカがすべての海底ケーブルを独占している」という単純な話ではありません。むしろ、世界のデータを生み出す企業、通信網へ投資する企業、設備を作る企業が、それぞれ違う強みを持っていることが分かりました。
海底ケーブルとは? インターネットは宇宙から届いているわけではない
海底ケーブルは、海底に敷設された通信ケーブルです。現在の国際通信では、主に光ファイバーの中を光信号が通ることで、大量のデータが運ばれています。
例えば、日本からアメリカのサーバーへ接続する場合、概ね次のような経路になります。
- スマートフォンからWi-Fiや携帯電話の基地局へ接続する。
- 国内の光ファイバーなどを通って、海底ケーブルの陸揚げ局へ向かう。
- 太平洋の海底に敷設された光ファイバーで、大量のデータをアメリカ側へ送る。
- アメリカの地上ネットワークを経由し、目的のサーバーへ到達する。
もちろん、Webサイトのデータが国内に保存されていれば、海外へ通信する必要はありません。99%という数字は主に国際的なデータ通信の話であり、国内通信の99%が海底を通るという意味ではない点に注意が必要です。
国際電気通信連合(ITU)は、海底通信ケーブルが世界のデータ通信の99%以上を担う重要インフラだと説明しています。またKDDIも、日本の国際通信量の99%を海底ケーブルが収容すると公表しています。
海底ケーブルの中身は、実は細い光ファイバー
海底ケーブルは、ただ太い電線を海に沈めたものではありません。通信を担うのは内部の光ファイバーです。海沿いでは船の錨や漁業などから守るために保護を厚くし、長い海底区間では途中の中継器が光信号を増幅します。
なお、電力を送る海底送電ケーブルと、インターネットのデータを送る海底通信ケーブルは別のもの。企業の事業内容や市場シェアを比較するときにも、混同しないようにしたいところです。
世界の海底ケーブル地図|これほど多くの回線が海の底を走っている
まずは、この世界地図を見てください。今回の記事で、私が最も見てほしい画像です。

TeleGeographyの2026年版地図には、運用中または建設中の694システム、1,893の陸揚げ地点が掲載されています。調査時点によって運用中・計画中の件数は変わるため、この数字は「2026年版地図の掲載数」です。
特に注目したいのは、日本とアメリカを結ぶ太平洋、アメリカとヨーロッパを結ぶ大西洋、そしてアジア・中東・ヨーロッパをつなぐインド洋方面です。世界の経済活動が、こうした目に見えない回線に支えられていると思うと、なかなか壮観です。
地図の利用条件:TeleGeographyの地図引用・ライセンス案内
もし海底ケーブルが切れたら? 金融・クラウド・AIにも影響する
海底ケーブルが運んでいるのは、動画やSNSのデータだけではありません。海外送金、銀行業務、企業間通信、クラウドサービス、海外データセンターとの通信など、さまざまな経済活動を支えています。
海底ケーブルは実際に故障します。主な原因には漁業活動、船の錨、自然災害などがあり、世界では年間およそ200件の障害が発生するとされています。
ただし、1本切れたら世界中のインターネットが止まるというわけではありません。通常は複数のケーブルを使い、障害時には別のルートへ迂回させる仕組みがあります。一方、接続ルートが少ない島国・地域では、深刻な通信障害になり得ます。
だからこそ、ケーブルの本数だけでなく、接続先やルートを分散することが重要なのです。投資で資産を分散する感覚と、少し似ているかもしれません。
Starlinkがあるのに海底ケーブルは必要? 衛星通信との違い
ここで気になるのが、イーロン・マスク氏のSpaceXが展開するStarlink(スターリンク)です。衛星インターネットが普及すれば、海底ケーブルは不要になるのでしょうか。
結論は、Starlinkは海底ケーブルの代わりになる場合もあるが、世界の大容量通信を全面的に置き換える仕組みではない、ということです。

Starlinkは衛星と利用者の端末を電波でつなぎます。さらに衛星同士をレーザーでつなぎ、世界各地の地上局から一般のインターネットへ接続します。SpaceXの公式資料でも、地上局は衛星と地上のインターネット網をつなぐ設備だと説明されています。
したがって「Starlinkでも、国際通信は必ず海底ケーブルを使う」というわけではありません。衛星同士で海を越え、別の地域の地上局へ通信を届けるルートもあります。一方で、地上局から先の通信では、他の事業者の光ファイバー網や海底ケーブルにつながる場合もあります。
| 比較項目 | 海底ケーブル | Starlink |
|---|---|---|
| 得意なこと | 大量の国際データを低い単位コストで運ぶ | 離島・山間部・災害時など、地上回線が弱い場所をつなぐ |
| 主な設備 | 海底の光ファイバー、陸揚げ局、中継器 | 衛星、利用者端末、地上局、衛星間レーザー通信 |
| 弱点・課題 | 敷設・修理に時間と費用がかかる | 利用条件や容量、料金、衛星・地上局の整備に制約がある |
| 関係性 | 国際通信の主力インフラ | 地上・海底通信の補完、場合によっては代替ルート |
海底ケーブルが切れた地域をStarlinkが支えた事例もある
SpaceXの2025年の報告書には、アラスカ州ノームで海底光ファイバーの接続が切れた際、Starlinkの通信設備が重要な通信を支えた事例が紹介されています。
この事例を知ると、私は「海底ケーブルか、衛星か」という二者択一ではないと思いました。普段は海底ケーブルで大量通信を運び、万一の際には別の経路を確保する。通信インフラ全体の強さは、複数の選択肢を持つことにあるのでしょう。
参考:SpaceX Starlink Progress Report 2025/Starlinkの技術紹介
自動運転やAIにも海底ケーブルは使われるのか?
通信インフラの話から、もう一つ気になったのが自動運転です。
自動運転車が歩行者を見つけてブレーキを踏むとき、その判断をアメリカのサーバーに問い合わせているのでしょうか。答えは、基本的に違います。
Waymoは、車両に搭載したコンピューターがミリ秒単位でリアルタイムの運転判断を行うと説明しています。安全に直結する瞬間的な判断を、海外の海底ケーブルの応答に依存させるわけではありません。
一方で、世界中の走行データの分析、AIモデルの学習、ソフトウェア開発、クラウドサービスなどでは大量のデータ通信が必要です。国際間でデータをやり取りする場面では、海底ケーブルがその土台になり得ます。
ちょうど2026年10月30日には、トヨタとWaymoが協業を拡大し、2027年に日本でトヨタbZ4Xによる自動運転タクシーの試験・検証を含む初期運行を開始すると発表しました。
私は以前、中国・武漢で無人タクシーを見て感じた衝撃と、日本の自動運転の将来について記事を書いています。車そのものの技術に目が向きがちですが、その開発の背後にあるAI・データセンター・国際通信網にも目を向けると、別の景色が見えてきます。
参考:Waymoの車載コンピューター解説/トヨタ公式発表(2026年10月30日)
海底ケーブルはどこの国が強い? 製造・敷設の企業別シェア
では、この重要な海底ケーブルを作っているのは、どこの企業なのでしょうか。私はてっきりアメリカ企業が圧倒していると思っていました。
ところが、経済産業省の2025年の資料を見て、少し驚きました。

| 企業 | 国 | 敷設距離の割合 |
|---|---|---|
| ASN(Alcatel Submarine Networks) | フランス | 40% |
| SubCom | アメリカ | 31% |
| NEC | 日本 | 21% |
| HMN Technologies | 中国 | 8% |
※対象は2011年〜2024年に敷設された海底ケーブルの累計距離で、2025年2月時点の集計。これは製造・敷設を請け負った企業のシェアであり、世界の海底ケーブルの所有割合や通信量の国別シェアではありません。
出典:経済産業省「半導体・デジタル産業戦略の現状と今後」119ページ(2025年5月30日)
なんと、フランスが40%で1位。アメリカが31%で2位。そして日本のNECが21%で3位です。日本企業が世界の海底ケーブル事業で、これほど重要な役割を担っているとは知りませんでした。
日本のNECはどのくらい稼いでいるのか? 最新決算で確認
世界シェアが高いことは分かりました。でも、投資家としては「実際にどのくらいの売上があるのか」が気になります。
NECが2026年10月28日に公表した決算資料によると、海底システム事業の2026年4〜9月の売上高は553億円で、前年同期比80.3%増でした。2027年3月期の通期売上予想は1,200億円です。
一方、NEC全体の通期売上予想は3兆7,400億円。海底システム事業の予想売上は、全社の約3.2%です。
つまり、海底ケーブルは成長しているものの、NEC全体をこの事業だけで評価することはできません。社会インフラとして重要なことと、株式投資で高いリターンが得られることは別問題。ここは冷静に見たいと思います。
NEC以外にも、住友電気工業が光ファイバーなどの技術を持ち、KDDIやNTTグループは海底通信網の運用や敷設・保守などで関わっています。日本には製造から運用まで、一定の厚みがあるわけです。
参考:NEC 2027年3月期第2四半期決算説明資料(2026年10月28日)。売上高の通期数値は予想であり、確定実績ではありません。
アメリカは海底ケーブルを何割握っているのか?
ここは、今回の調査で自分の思い込みが一番変わったところです。
「アメリカが海底ケーブルを牛耳っている」と聞いたことはありましたが、世界の海底ケーブルの何割を米国が所有しているかについて、比較可能な公的な一つの割合は確認できませんでした。
そもそも、海底ケーブルの「支配」には、製造、敷設、所有、出資、通信容量の確保、陸揚げ許認可など、いくつもの意味があります。複数社で共同所有するケーブルもあるため、国籍だけで単純に割合を出すのは難しいのです。
したがって、先ほどのSubComの31%を「アメリカが世界の海底ケーブルの31%を所有」と言い換えるのは誤りです。
米国の強さは、Google・Meta・Microsoft・Amazonが通信需要を生み出していること
しかし、アメリカの存在感が小さいわけではありません。
TeleGeographyによると、Google、Meta、Microsoft、Amazonといった大手コンテンツ・クラウド事業者は、海底ケーブルの共同出資、単独所有、大規模な通信容量の確保などに積極的に関わっています。その公開案件リストは、2017年の20件から現在は60件超へ増えています。
ただし、この60件超は「米国が単独所有する60本」ではありません。所有、共同出資、大口容量購入など、関わり方の違う案件を含むリストです。
私が重要だと感じたのは、アメリカには世界中の人々が日常的に使うサービスを提供し、その通信需要を支えるインフラへ継続的に投資できる巨大企業が多いという点でした。
Googleの検索・YouTube・クラウド、MetaのSNS、Microsoftのクラウド、AmazonのAWS。これらは世界のデータの流れを生み出す重要な事業です。
参考:TeleGeography「大手コンテンツ事業者の海底ケーブル投資一覧」
安全保障上の影響力もある。ただし世界中のケーブルを規制できるわけではない
海底ケーブルは経済安全保障でも重要視されています。アメリカは、自国に陸揚げするケーブルについて、許認可の際に安全保障上のリスクを審査しています。
ただし、これはアメリカ領域に接続するケーブルの規制です。米国が世界中のあらゆる海底ケーブルを自由に管理できるという意味ではありません。
参考:米国FCCの海底ケーブル許認可に関する規則(2025年)
中国も海底ケーブルで世界に進出している
円グラフで中国のHMN Technologiesが8%だったことも気になりました。中国は今後、この分野をどのように伸ばそうとしているのでしょうか。
中国の政府系研究機関・中国情報通信研究院(CAICT)が2025年に公表した報告書によると、HMN Technologiesは累計で10万km超の海底ケーブルシステムを建設し、140件超の案件を手がけ、70以上の国・地域で事業を展開しているとされています。これらは中国側の公表値です。
また、同報告書によれば、中国企業は2024年末までに、運用中の国際海底ケーブル17システムへ投資・建設で参加しています。これは17システムすべてを中国が単独所有しているという意味ではありません。
アジア・アフリカ・ヨーロッパを結ぶ約2万2,000km超のPEACEケーブルなど、中国企業が関わる国際プロジェクトもあります。
さらに中国の工業情報化部は2026年、国際海底ケーブルの接続ルートを増やし、海底光通信や衛星通信の技術開発を進める方針を示しています。
私はここから、中国が通信ルートの確保と、自国の通信インフラ企業の競争力強化を重視していると読み取りました。ただし「中国が世界の海底ケーブルを支配しようとしている」とまでは、今回の資料だけでは断言できません。
以前私は、「中国はアメリカを超えられるのか」というテーマでも記事を書きました。海底ケーブルを見ても、中国が世界で存在感を高めようとしていることは感じますが、アメリカ・欧州・日本もそれぞれ強みを持っています。単純な一強・一弱では語れないところが面白いと思います。
参考:CAICT海底ケーブル報告書(2025年)/中国工業情報化部の発表(2026年)
だから私は米国株を選び続ける。ただし、アメリカ一国だけを信じているわけではない
ここまで調べて、私が感じたことを書きます。
私は2018年から、米国株と米国株のインデックス投資を本格的に続けてきました。最初は月10万円の積立でしたが、2022年からは月40万円へ増やし、2026年現在も楽天VTIと楽天VYMへの月40万円の積立を続けています。
もちろん、2018年に海底ケーブルの世界シェアを調べて、米国株を選んだわけではありません。後から無理に理由を付けるつもりもありません。
私が長く米国株を保有しているのは、過去の投資経験や、米国企業の成長力への期待があるからです。アメリカで生活した経験も、自分なりの見方に影響しています。詳しくは、以前書いた「なぜアメリカは強いのか? 51歳の今も米国株を主力にする理由」で振り返っています。
今回の海底ケーブルの調査は、その考えを別の角度から見直す機会になりました。
海底ケーブルの製造ではフランスや日本も強い。衛星通信ではSpaceXが存在感を持つ。そして世界的なデータ需要を生み出す巨大なクラウド・IT企業には米国企業が多い。
私にとって、米国の強さは「ある一つの技術を独占していること」ではありません。世界の通信・クラウド・AI・サービスの複数の層に、競争力のある企業が存在することです。
だからこそ、私は米国株を簡単に売却するつもりはありません。43歳で楽天VTI・VYMを選んだ理由と、その後の投資の答え合わせにも通じる考え方です。
ただし、強い企業が多いことと、将来の株価リターンが必ず高いことは別です。企業の利益、株価の割高・割安、為替、政治、競争環境は変わります。アメリカにも、日本の長期停滞のような時期が絶対に訪れないとは言い切れません。
そのため私は米国株を中心に保有しながらも、世界株式への分散や、金・銀・スイスフランなど株式とは異なる資産を持つことも意識しています。この考えは、金・銀・スイスフランを組み合わせる私の資産分散方針にも書きました。
まとめ|海の底を調べると、世界経済と米国株投資の見方が変わった
海底ケーブルは、私たちが普段ほとんど意識しないインフラです。でも国際通信の大部分を支え、金融、クラウド、AI、国際ビジネスを下から支えています。
調べる前は、アメリカが海底ケーブルをかなり握っているのではないかと思っていました。しかし、製造・敷設ではフランスが40%、米国31%、日本21%、中国8%という結果でした。日本企業の強さを再発見できたことも収穫です。
一方、海底ケーブルの重要な利用者・投資家として、GoogleやMetaをはじめとした米国企業が存在感を持っていることも分かりました。
私はこれからも、こうした産業構造を学びながら米国株中心の長期投資を続けたいと思います。ただし、世界が変わる可能性も考えて、資産は分散していくつもりです。
「アメリカは強い」と考えることと、「アメリカ以外を見る必要はない」と考えることは、まったく別。海底ケーブルの世界は、そのことを改めて教えてくれました。
※本記事の情報は2026年11月2日時点で確認した公開資料に基づきます。企業別シェアは2011〜2024年の敷設距離、NECの通期数値は予想です。特定の国・銘柄の将来の株価を保証するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
