【中国で見た現実】武漢で無人タクシーを見て衝撃|自動運転で日本は3〜5年後どうなる?

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こんにちは、nobu2394.comです。

中国で生活していたとき、仕事で武漢へ行く機会が何度かありました。

そこで初めて、運転手が乗っていない「無人タクシー」を実際に見ました。

友人たちと普通のタクシーに乗って、市街地を走っていたときのことです。

信号か何かで止まったとき、隣に一台の車が並びました。

すると中国人の友人が、

「没有人(人がいない)」

と言いました。

最初は何を言っているのか分かりませんでした。

横を見ると、本当に運転席に誰もいない。

でも、その車は普通に道路を走っている。

「マジで? もうこんなところを走ってるの?」

というのが最初の感想でした。

怖い、というより先に出てきた感想は「すげえ」でした。

そして、その次に私が思ったことがあります。

「これ、ものすごい量の走行データがたまるな」

ということです。

その後も武漢へ行く機会があり、無人タクシーらしき車両を2〜3回見ました。

タクシー全体から見れば、まだ少数だったと思います。

私は実際に乗ったことはありません。

どうやって呼べばいいのかも、そのときはよく分かりませんでした。

でも、機会があれば乗ってみたいと思いました。

この記事では、私が武漢で無人タクシーを見た体験を出発点に、

  • 武漢では無人タクシーがどこまで普及しているのか
  • 中国が実走データを蓄積する意味
  • TeslaのCybercabがなぜ衝撃的なのか
  • 日本でも完全無人タクシーは走るのか
  • 本当の勝負は「開始時期」より「展開速度」ではないか

ということを考えてみたいと思います。

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武漢で見たのは「実験車」ではなく、普通の市街地を走る無人車だった

まず、私が見た車両について一つ断っておきます。

写真を撮っておらず、その車両がBaiduのApollo Goだったのか、運営会社までは確認できていません。

そこは断定しません。

ただ、武漢ではかなり早い時期から、Baiduの自動運転配車サービス、

「萝卜快跑(Luobo Kuaipao/Apollo Go)」

が実際に公道を走っていました。

武漢市政府によると、2022年8月8日、武漢では車内に安全員を乗せない完全無人の自動運転車による商用サービスが始まっています。

当初は20台の自動運転車が投入され、そのうち5台が車内に安全員のいない完全無人車でした。

出典:武漢市政府「全国首批无人化示范运营资格发放」

中国・武漢の公道を走るBaidu Apollo Goの無人タクシーRT6
中国・武漢の和平大道を走るBaidu Apollo Goの第6世代ロボタクシー「RT6」。撮影:S5A-0043 / Wikimedia Commons(CC BY 4.0)

わずか半年ほどで「5台」から「100台超」へ

私が武漢の自動運転で特に気になるのは、

展開速度です。

2022年8月に始まった完全無人サービスは、その後かなり速いペースで拡大しました。

武漢市交通運輸局によると、2023年2月には完全無人車両が100台を突破。

運行道路は750km超、サービス範囲は約530平方kmまで広がり、約150万人が利用可能な地域になっていました。

出典:武漢市交通運輸局「武汉全无人驾驶车队投放破百」

時期 武漢の主な動き
2022年8月 完全無人の商用サービス開始。20台中5台が車内安全員なし
2023年2月 完全無人車100台超、運行道路750km超、約530平方kmへ拡大
2024年6月 Baiduが武漢市のほぼ全域で完全無人運行を開始したと発表

2024年6月には、Baiduが「武漢市のほぼ全域」で100%完全無人の運行を開始したと発表しています。

出典:Baidu 2024年第2四半期資料

だから私が市街地で何度か無人車を見たことも、不思議ではありません。

武漢は人口も非常に多い巨大都市です。

そんな場所の普通の道路で、すでに無人タクシーを実際に走らせている。

私はそこに一番衝撃を受けました。

私が最初に思ったのは「これ、データがたまるな」

自動運転のニュースを見ると、どうしても、

「本当に事故を起こさないのか」

「人間より上手に運転できるのか」

というところへ目が行きます。

もちろん、それは大切です。

でも武漢で実際に無人車を見たとき、私が考えたのは少し違いました。

「これだけ実際の道路を走らせたら、どれだけデータがたまるんだろう」

ということでした。

信号。

歩行者。

自転車。

バイク。

割り込み。

工事。

雨。

夜。

想定外の動きをする車。

自動運転にとって、本当に価値があるのは、シミュレーションだけでは分からない現実世界の「例外」だと思います。

実際に走る

↓

大量の走行データが集まる

↓

危険場面・例外・人間の介入を分析する

↓

AI・自動運転ソフトウェアを改善する

↓

さらに多くの車を走らせる

この循環が回れば回るほど、先に大量の実走を始めた企業が有利になる可能性があります。

前回のトヨタの記事でも、私は同じことを書きました。

これからの自動車産業では、単に「いい車を作れるか」だけではなく、

車両データを誰が握り、そのデータから学ぶループを誰が回すのか。

ここが非常に重要になるのではないかと考えています。

2026年、Apollo Goの完全無人走行は2.4億kmを超えた

その後の数字を見ると、武漢で私が感じたことが現実になっていることが分かります。

Baiduの2026年第2四半期資料によると、Apollo Goは世界28都市へ展開。

累計の自動運転距離は、

3.5億km超。

そのうち、運転席に人間を置かない完全無人での自動運転距離だけでも、

2.4億km超

に達しています。

累計乗車回数も2,300万回を超えています。

※乗車回数は2026年6月時点、走行距離等は2026年8月時点のBaidu公表値。武漢だけではなくApollo Go全体の数字です。

出典:Baidu 2026年第2四半期決算

2.4億km。

この数字を見て、改めて思います。

「もう走らせてしまっている」こと自体が、大きな競争力になる可能性がある。

私はそこをかなり重要視しています。

Baiduは「ハンドルなし」のRT6まで実際に走らせている

Apollo Goの第6世代車両が、

RT6

です。

BaiduはRT6を、従来の市販車を自動運転車へ改造するのではなく、最初から完全無人運転を想定して設計した電気自動車と説明しています。

そして、ステアリングホイールをなくすことも想定されています。

2024年10月以降、中国の複数都市の公道で運行しています。

出典:Baidu General Business / Apollo Go

つまり、

「普通の車に自動運転を追加する」

ところから、

「最初から人間が運転しない車を作る」

という段階へ進み始めているわけです。

そして衝撃だったTesla Cybercab|ハンドルもペダルもない

この流れで、もう一つどうしても触れておきたい車があります。

Tesla Cybercabです。

Cybercabを初めて見たときも、かなり衝撃を受けました。

何が一番衝撃的か。

ハンドルがない。

アクセルペダルもない。

ブレーキペダルもない。

Tesla自身が2026年に公開したCybercab Rider Guideにも、車内には2席があり、ステアリングホイール、アクセルペダル、ブレーキペダルを備えていないと明記されています。

出典:Tesla Cybercab Rider Guide

サンフランシスコの公道を走るTesla Cybercab
2026年6月、サンフランシスコの公道を走るTesla Cybercab。撮影:9yz / Wikimedia Commons(CC BY 4.0)

2026年9月には日本でもCybercab Japan Tourが行われ、Teslaは、

「人が運転することを前提とせず、無人タクシー用としてゼロから設計された2人乗り車両」

と紹介しています。

出典:Tesla「Cybercab Japan Tour」

ハンドルとアクセル・ブレーキペダルがないTesla Cybercabの車内
Tesla Cybercabの車内。2人乗りで、ハンドル・アクセルペダル・ブレーキペダルを備えていません。撮影:Steve Jurvetson / Wikimedia Commons(CC BY 2.0)

「自動運転機能が付いた車」ではなく、車そのものが変わる

ここは結構大きな違いだと思っています。

今までの自動運転は、

「人間が運転する車を、自動でも走れるようにする」

というイメージが強かった。

でもCybercabやRT6を見ると、

「そもそも人間が運転する必要がないなら、ハンドルもペダルもいらないよね」

という発想になります。

そうなると、車の設計自体が変わります。

運転席という概念も変わる。

車内の使い方も変わる。

タクシーのコスト構造も変わる。

そして将来的には、個人が「車を所有する」意味まで変わる可能性があります。

武漢で私が見た無人タクシーは、私にとってこの変化を現実のものとして感じた最初の瞬間でした。

日本も2027年、東京で完全無人タクシーを目指している

では、日本はどうでしょうか。

ここは悲観的な話だけではありません。

2026年9月、Waymo、日本交通、GOの3社は、

2027年中に東京でレベル4の完全無人商用タクシーを開始することを目指す

と正式に発表しました。

Waymoによると、GOアプリとWaymoアプリの両方から利用できるサービスを想定。

最初は限定的な台数から始め、東京の主要エリアで約100台まで段階的に拡大する計画です。

ただし、国や自治体から必要な許認可を取得することなどが条件です。

出典:Waymo「Opening our doors to Tokyo riders in 2027 with Nihon Kotsu and GO」

国土交通省も、この計画を国内初となるレベル4の完全無人商用タクシーを目指す取り組みとして紹介しています。

さらに政府は、2030年度までにバス・タクシー・トラックなどの自動運転サービス車両1万台を導入する目標を掲げています。

出典:国土交通省「Waymo、日本交通、GOの3社による金子大臣への表敬訪問」

だから本当の勝負は「いつ始めるか」ではないと思う

2027年に東京で完全無人タクシーが始まるのであれば、

「日本では自動運転タクシーが走れない」

という話ではありません。

私が本当に気になるのは、

その後です。

100台で終わるのか。

1,000台へ行くのか。

1万台へ行くのか。

東京だけなのか。

名古屋や大阪、地方都市へ広がるのか。

日中だけなのか。

24時間走れるのか。

私は、自動運転競争で重要なのは、

「最初の1台をいつ走らせるか」より、「そこからどれだけ速く規模を拡大できるか」

ではないかと思っています。

事故が起きたとき、日本はどこまで前へ進めるのか

ここからは、私自身の考えです。

自動運転を広げれば、残念ながら事故が起こる可能性をゼロにはできないと思います。

人間が運転していても交通事故は起きています。

自動運転だから事故が許される、という意味ではもちろんありません。

重大事故が起きれば原因を究明し、安全性を確認する必要があります。

ただ、私が心配しているのは、

技術そのものより「社会実装が長期間止まってしまうこと」

です。

リスクを限りなくゼロにしなければ次へ進めないという考え方になれば、実際の道路を走りながら膨大なデータを蓄積する海外勢との差が広がる可能性があります。

安全を重視すること。

社会実装を速めること。

この2つをどう両立するのか。

日本にとって、かなり難しい課題だと思っています。

ライドシェアを見ても、日本の社会実装速度には少し不安がある

もう一つ、私が気になるのがライドシェアです。

中国ではDiDiなどの配車サービスが日常生活に深く入り込んでいます。

普通の乗用車が配車サービスに参加する仕組みも広く利用されています。

中国で生活していると、移動の仕組みそのものが日本とはかなり違うと感じます。

一方、日本ではいわゆる「日本版ライドシェア」が始まったものの、制度や運用方法は中国や米国とはかなり違います。

この話はそれだけで長くなるので、実際に中国で配車アプリを100回以上使った体験と、日本版ライドシェアとの違いを別記事にまとめました。→ 【中国で100回以上利用】DiDiなど配車アプリの現実|41km約3,000円、日本版ライドシェアとの違い

ただ、私自身は、

新しい移動サービスをどこまで速く社会実装できるのか

という点で、日本の自動運転にも同じ課題が出てくるのではないかと少し心配しています。

3〜5年後、日本で完全無人タクシーが普通に走っているか

では、自分自身の予想も残しておきます。

私は、3〜5年後であれば、日本でも完全無人タクシーは走っていると思います。

むしろ、

走っていてほしい。

東京だけで数十台という実証レベルではなく、複数の大都市で、一般の人が普通にアプリから呼べる。

そこまで行っていてほしいと思います。

逆に、3〜5年後になっても日本の大都市で完全無人タクシーがほとんど走っていないのであれば、

私は、自動運転競争でかなり大きな差をつけられているのではないかと思います。

なぜなら、差がつくのは車両台数だけではないからです。

その間にも、海外では実走データが増える。

AIが学習する。

ソフトウェアが改善される。

運行ノウハウも蓄積される。

料金設定や車両管理、清掃、充電、遠隔サポートなど、無人タクシーを実際に運営するためのノウハウもたまっていきます。

1年の遅れが、単なる1年ではなくなる可能性があります。

自動運転は「自動車メーカーだけの競争」ではなくなっている

ここまで考えると、前回書いたトヨタの記事ともつながります。

自動運転の世界で競争しているのは、トヨタ、Teslaなどの完成車メーカーだけではありません。

Baidu。

Waymo。

Huawei。

そして多数のAI、半導体、クラウド企業。

自動車業界の境界そのものが曖昧になっています。

Huaweiが完成車メーカーのかなり深いところまで入り込んでいる現状については、別記事で詳しく書いています。

今後の自動車産業では、

車を作る会社。

AIを作る会社。

自動運転ソフトウェアを作る会社。

データを持つ会社。

配車サービスを握る会社。

この中で、誰が一番大きな価値を取るのか。

私はそこに非常に興味があります。

EVの普及でも、中国の「まず広げる速さ」を見た

私は以前、EVより水素が有利になるのではないかと予想していました。

しかし中国で実際に生活し、EVや充電設備が急速に広がっていく姿を見て、少なくとも乗用車ではその予想を外したと考えています。

その答え合わせはこちらの記事で詳しく書きました。

EVでも、自動運転でも、中国を見ていて感じるのは、

社会実装のスピードが非常に速い。

ということです。

もちろん、速ければすべて正しいわけではありません。

安全、品質、法律、個人情報など、考えなければならない問題はたくさんあります。

ただ、実際に使わなければ得られないデータやノウハウがあるのも事実だと思います。

まとめ|武漢で見た「運転席の空白」が、自動車の未来を考えるきっかけになった

武漢で無人タクシーを初めて見たとき。

隣の車の運転席に誰も座っていない。

それなのに普通の市街地を走っている。

最初に思ったのは、

「すげえ」

でした。

そして次に思ったのが、

「これ、データがたまるな」

でした。

数年後に数字を調べてみると、Apollo Goはすでに3.5億kmを超える自動運転走行を重ね、そのうち2.4億km以上が完全無人です。

TeslaのCybercabには、もはやハンドルもアクセルペダルもブレーキペダルもありません。

Waymoは2027年、東京で日本交通、GOと完全無人商用タクシーを始めようとしています。

もう、

「自動運転は本当に来るのか」

を議論する段階ではなくなりつつあるのかもしれません。

これから見るべきなのは、

どの国、どの企業が、どれだけ早く大規模に社会へ広げ、データとノウハウを蓄積できるのか。

そこだと思っています。

私の予想は、3〜5年後、日本でも完全無人タクシーは走っている。

でも、そのとき中国やアメリカとの差が縮まっているのか、さらに広がっているのか。

そこは分かりません。

だから、この記事も残しておきます。

2030年前後になったら、また答え合わせをしてみたいと思います。

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参考資料

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